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Date:  Mon, 2 Aug 1999 21:27:55 +0900
From:  Toshio KOIKE <tkoike@nagaokaut.ac.jp>
Subject:  [game-jp:0074] Remote Sensing Symosium in Birmingham and Santa Fe
To:  game-jp@ihas.nagoya-u.ac.jp, cvlhydro-ML@rdp.dpri.kyoto-u.ac.jp
Message-Id:  <199908011721.AA00322@tkoike.vos.nagaokaut.ac.jp>
In-Reply-To:  <199907290016.AA00280@tkoike.vos.nagaokaut.ac.jp>
X-Mail-Count: 00074

皆様,小池です.

バーミンガムで開催された今年のIUGGでは,7月28−30日に海洋,大気,
陸域を含めたリモートセンシングのjoint symposiumが開催されました.
日本からの参加はそれ程多くありませんでしたが,昨年度までの「衛星
計測」重点領域の会議のように,リモートセンシングによる地球観測全
般の幅広い話題が聞けて,勉強になりました.忘備録として報告をまと
めましたので,末尾に添付します.

さて,既にご承知の方もおられると思いますが,IAHSでは,明年4月に米
国のSanta Feにて,

Remote Sensibg and Hydrology 2000

を開催します.申し込み〆切は7月31日ですが,主催者のA.Rangoよ
り,8月第2週末までは受け付けるので積極的に参加してほしいと依頼が
ありました.下記が概要です.

・期間:2000年4月2−7日
・場所:米国ニューメキシコ州サンタフェ
・テーマ:
 1)Remote sensing of:
   precipitation, evapotranspiration, soil moisture and   
   groundwater, snow and ice, wetlands and riparian zones
 2)hydrological modelling and forecasting using remote sensing 
   data.
 3)Operational Hydrological applications of remote sensing data
 4)The roles and importances of large scale experiments in    
   hydrological understanding.
 5)Radar applications in hydrology.
 6)GIS-remote sensing applications.
・申し込み:
 300-400wordsのアブストラクトを下記までに送る.
 lohare@hydrolab.arsusda.gov
・論文は会議後にIAHS red bookとして出版.
・詳細は下記のwebサイトを参照.
 http://hydrolab.arsusda.gov/cf2k/conf2000.htm

以上です.

------Birmingham IUGG JSM41の報告-----------------------------
陸域では,招待講演として,R.Armstrongが積雪を,T.Jacksonが土壌水
分について講演し,それぞれの分野の包括的なレビューは参考になりま
した.前者ではAVHRRとSSM/Iをそれぞれ用いた積雪面積データセットの
比較について触れ,欧州ではAVHRRによる積雪面積がチベットではSSM/I
が大きく見積もられていることを指摘していました.これはパッシブマ
イクロ波センサの限界であり,積雪面積の算定は「可視・赤外センサに
分があり」の改めて感じました.後者では,API(先行降雨指数)による
検証は役に立たないと断じていたのが印象的でした.またいずれもアク
ティブマイクロ波には一言も触れず,狭いマイクロ波リモートセンシン
グのコミュニティにも関わらず,世界では相変わらずパッシブとアク
ティブではっきりグループ分けされていることを実感しました.その他
の招待講演としては,M.Menentii,G.Kiteがそれぞれ,衛星の時系列
データの利用,トルコでの灌漑用水管理への衛星データの利用について
紹介しましたが,いずれも迫力に欠けており,国際会議での招待講演の
選定の仕方について考えさせられました.

今後の計画の話題では,ADEOS-IIとEOS-PM搭載のAMSRが重要な位置を占
めていましたが,ESAが,土壌水分と海洋塩分濃度観測を目的として,
2002-2003に計画している2Dインタフェロメトリを用いたLバンドマイク
ロ波放射計観測(Soil Moisture and Ocean Sakinity (SMOS))計画を,
紹介用ビデオを上映して上手に宣伝していました.土壌水分観測にとっ
て長年の念願であるLバンドのマイクロ波放射計がESAによってphase Bに
移行したことは,NASAのHYDROSRTSARが行き詰まっている状況下におい
て,参加者の大きな期待を抱かせました.同時に,堅実路線のCバンド
AMSRでしっかりした成果を出しておくことの重要性を改めて認識しまし
た.陸域の一般講演で特に印象に残ったのは,TOPEX/Poseidonを使っ
て,93年以降の湖の水位変動を調査した発表で,アフリカのほとんどの
大きな湖の水位は93年以降継続して上昇傾向にあり,中でも98年の水位
上昇が著しいこと,中央アジアでは大アラルは依然として推移低下傾向
にあるが小アラルは回復傾向にあることを,見事に表していました.

シンポジウム全体では,全体の招待講演として真っ先に演壇に立った
G.Stepensが衛星による気候変動観測論を展開し,変動を感知するには
観測手法の安定性が,またプロセスを理解するには不確定性の改良が必
要であるが,変動を理解するためには両者が必要で,さらに他の要素と
の関連性,現象の代表性を兼ね備えることなどを,事例を含めて体系的
に説明していたのに感心しました.その他に,大気関係では特にTOVS 
PATH FINDERプロジェクトに関する2件の発表で気候研究にとって大変有
用な大気温度,水蒸気データセットが既に作られていること,海洋で
TOPEX/PoseidonやERS1/2を用いた高度な海面情報のアルゴリズムが開発
されていることなどが目新しく,有意義な会議でした.
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小池俊雄,Toshio KOIKE
長岡技術科学大学環境・建設系 地球環境研究室
Hydrosphere and Atmosphere Interaction Laboratory (HAIL)
Department of Civil and Environmental Engineering
Nagaoka University of Technology
tel:0258-47-9667, FAX:0258-47-9673
email:tkoike@nagaokaut.ac.jp
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