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Date:  Tue, 4 Jan 2000 08:54:11 +0900
From:  mdy@kobe-u.ac.jp
Subject:  [game-jp:0137] No supply of AIR rawinsondes after Sep 2000 
To:  game-jp@ihas.nagoya-u.ac.jp, maria@kurasc.kyoto-u.ac.jp
Message-Id:  <200001032354.IAA02977@taiki1.shizen.sci.kobe-u.ac.jp>
X-Mail-Count: 00137


GAME-ML, MARIA-ML各位、

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

年頭からあまり良くないニュース(12月に入手していましたが御報告遅れまし
た、そのため既に御存知の方も多いかもしれませんが御容赦下さい)で申し訳ご
ざいません。

高層気象観測用(ラジオおよびレーウィン)ゾンデのメーカーの一つであった米
国AIR社が昨年春に最大手のVISALA社に事実上吸収合併されたことは御
承知の方も多いと存じます。しかしあの時点では、AIRゾンデは、今後も引続
きVAISALAを販売元として供給されるものと受取られていました。

しかし先月VAISALA社は、本2000年9月をもってAIRゾンデを一切
製造中止とする旨発表したとのことです。なお既に販売したAIRゾンデ受信機
については、VAISALA社が「有償」(日本円で500万!)で自社受信機
とリプレイスするとのことです。

AIR社ゾンデは、これまでも多少問題が指摘されたこともありましたが、地上
作業(放球前処理と受信信号処理・図示・電報化ソフトの全て)を最大限簡単化
(極端に言えば観測者を信用しないスペック)したものとして、米国内のほか、
東南アジア、アフリカなど特に人員の不足しがちな地域で多く用いられてきまし
た。特にGPS化はVAISALA社より早く製品化して、使いやすく良い精度
のものでした。

一昨年のオメガ波の停止に引続き、今回の決定によって、ゾンデ観測点や回数が
また減少することが大いに懸念されます。(各国気象官署の財政的な面のみなら
ず、観測のノウハウは、両社でかなり違っていますので技術者の習熟もまた問題
です)

またこの結果、ゾンデによる上層風観測は(中国など一部の国・地域を除き)、
VAISALA−GPSと、VIZ・明星両社の直測距(ハードウェアはほぼ同
様)にほぼ2極化された形となります。数的には、特にもし前者がAIRのシェ
アを完全に占めた場合、後者をかなり圧倒することになると予想されます。この
ことは測器の国際統一という意味では望ましいことなのかもしれませんが、市場
寡占ということであり、比較検定などもしにくくなることも意味しています。

以上お知らせまで。失礼しました。
                          山中大学 拝

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Manabu D. YAMANAKA                                       
Professor for Atmosphere-Hydrosphere Sciences         Tel: +81 78 803 6472
Graduate School of Science and Technology             Fax: +81 78 803 5757
Kobe University                                       E/M: mdy@kobe-u.ac.jp
Nada-ku, Kobe 657-8501, Japan  http://www.shizen.sci.kobe-u.ac.jp/~yamanaka
and 
Group Leader for Project II-3
Frontier Observation Research System for Global Change
Sumitomo Hamamatsucho Building 4F, Minato-ku, Tokyo 105-0013, Japan
        http://www.shizen.sci.kobe-u.ac.jp/~yamanaka/frontier/frontier.html
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