GAME研究集会のお知らせ

プログラム(予定)

(敬称略です、すみません)
報告 by 松山 @ 都立大

個人的意見がだいぶ入っています

1995 年度第 2 回 GAME 研究集会報告 松山 洋 (都立大・理・地理)

表記研究集会が、1995 年 7 月 21 日 (金)・22 日 (土) の両日にわたって 東京大学生産技術研究所にて開催された。直前に電子メールで案内を流しただ けだったにも関わらず、約 60 名の関係者が集まった。

今回の会合では、「地域観測とモデリング」をメインテーマに報告・議論が なされた。セッションは、GAME 全体に関して・モデリングのために必要な観 測項目・観測のためのモデルの利用・地域観測取得期待データと現象・質疑応 答 (以上 21 日)、研究班ごとの分科会・GAIN の現状・総合討論 (以上 22 日) の順に行われたが、肝心の「IOP の叩き台の検討」まで議論が及ばず、結局、 今回の会議では何の結論も得られなかった。

「GAME 全体に関して」では、安成 (筑波) が国内外における GAME の現状 報告を行った。パタヤ国際会議において GAME International Science Panel が設立されたこと、GAME 国際事務局が名大大気水圏研に設置されたこと、 NASDA/EORC が GEWEX 国際事務局を引き受けたこと、が報告され、それに引き 続いて国際的には GAME が CLIVAR/GOALS の橋渡し役を期待されていることが 述べられた。また国内の状況としては、GAME が文部省測地審議会で建議され たことが報告された。

「モデリングのために必要な観測項目」では、広域水文モデル (田中, 京大), 積雲・雲 (坪木, 東大), 流出 (立川, 京大), GCM (住, 東大), それぞれの立 場から発表がなされた。このうち立川 (京大) を除いては概念的な話に終始し たのは残念であった。何度も繰り返すが GAME の IOP はモデルを検証しに行 く場でなければならない。そのためには現在のデータでどこまで現実を再現で きるか、モデラーはその現状と限界について示すべきであろう。もし IOP で キャリブレーション用のデータを取得するのなら、バリデーション用にもう一 度 IOP を行わなければならない。それでなければルーチン観測データでバリ デーションを行えるようなモデルの設計が必要となろう。

「観測のためのモデルの利用」では、メソと四次元同化について発表がなさ れた。前者では木村 (筑波大) が、降水が卓越しない日に気圧の日変化から広 域の顕熱フラックスを推定する方法について紹介し、活発な質疑がなされた。 また後者では岩崎 (気象庁) が、「モデルのバリデーションのためにも空間代 表性のある気象・水文諸量が必要だが、悪い観測があると全体が悪くなる」と 述べたことが印象深い。

「地域観測取得期待データと現象」では AAN (安成, 杉田, 鈴木, 筑波大), GAME-T (沖, 東大), Hubex (藤吉, 名大), GAME-Tibet (安成, 筑波大, 石川, 京大), GAME-Siberia (大畑, 滋賀県立大) の発表があったが、どれも今年の 1 月の名大の会議で聞いた話の繰り返しであった。筆者にとって唯一目新しか ったのは、NCAR の Field Campaign に参加して帰国したばかりの鈴木 (筑波 大) による Flux PAM の紹介であった。また、地域観測計画ではいずれも重点 観測項目としてゾンデの強化観測を挙げていたが、これを主張する前に、1 日 2 回のゾンデ観測でこれまでに何が分かっており、強化観測を行うことによっ てどのような現象の発見・解明が予想されるかについて示すべきである。

「質疑応答」では、何を測れば 4DDA に役立つかということ、長期予報にと って積雪が重要であること、ゾンデの強化観測を行うためには早めに手をうつ こと、「あれもこれも」手を出すより人材を一括投入することが重要であるこ と、などが議論された。また、翌日の「研究班ごとの分科会」用に会場が確保 されていたが、結局分科会を行ったのは GAME-T と GAME-Siberia だけであっ た。これには意外な感じがしたが、研究班ごとの会合が頻繁に行われているこ との裏返しであろうか?

翌 22 日 (土) の「GAIN の現状」では村上 (気象研) が GAIN の全体像に ついての説明を行った。それは NTT マルチメディア実験ネットワーク (大学) と省際ネットワーク (国立研究機関) によって各研究機関を高速ネットワーク で結び、離散能動型アーカイブセンターを設立するというものである。また GAIN-FORUM 構想についても紹介があったが、詳しくは配布資料を参照された い。

「総合討論」では小池 (長岡技科大, 96年春までアメリカ留学中) による 資料「GAME 地域観測の基本的な考え方と戦略」が配られた。また、今回の宿 題として、モデル班・衛星班はどのようなデータが必要か、地域班は AWS で どのような項目の観測を行うべきか、早急に要望書を提出することになったが、 Flux PAM の注文を間近に控えて「何を今さら」という感が強い。今回モデリ ングの立場から具体的なコメントがなされなかったのも非常に残念なことであ り、アメリカ留学中の沼口 (環境研)の一刻も早い帰国が望まれる。

はっきり言って GAME はピンチである。

(敬称略)

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