平成 17年度 名古屋大学地球水循環研究センター
共同研究公募要項
[センター計画研究 (1km モデリング), (同位体), (沖縄亜熱帯)][集会/機器利用][申請方法 /締切][別紙 (word)/(pdf)][利用機器][教員]

「地球上の水循環システムの構造と変動に関する総合的な研究」に関する共同研究を下記のとおり公募します。


1 共同研究の 種別
 計画研究の種別は、次の通りです。

(1) センター計画研究への参加
 
本センターでは、分野を超えたセンター教員の研究チームによるセンター計画研究として次の3課題を策定しました。これらに参加する共同研究課題を募集します。

研究課題名: 「1km メッシュの領域水循環モデリング」 (継続・対応教員:坪木和久)
 地球大気では地表から大気中に入った水蒸気が、移流 され雲を主体とする大気擾乱に よって地表に戻されるものと大気中に残るものに配分される。この配分に関わる大気擾乱は雲から大規模擾乱スケールまでの間にいくつかの階層構造をなしてい る。水循環において階層構造のそれぞれは固有の役割を持っていて、スケール毎に段階的に水の集中化と大気中への再配分を行っている。しかしながらあるス ケールの現象がその階下の現象をどのように発達させるのか、あるいは小スケールの擾乱がその階上の擾乱にどのような作用をするのかなどは、重要な問題であ りながら、ほとんど明らかにされていない。
 このような研究は観測だけでは不十分で、雲を時空間解像度においても物理過程においても詳細に表現できる数値モデルを用いてシミュレーションする必要が ある。本研究課題ではこれまで開発を行ってきた雲を解像する数値気象モデルCReSS (Cloud Resolving Storm Simulator)を用いる。
 本研究課題では、雲を詳細に表現し、かつ並列計算により大規模な領域を1km以下のメッシュでシミュレーションを行うことにより、領域内に起こるすべて のスケールの水循環に関わる現象を、対流のパラメタリゼーションを用いることなく、最小の雲そのものから大規模まで、すべてを陽にシミュレーションするこ とを目的とする。これにより領域水循環における階層構造のすべてのスケールを同時に共通の格子点で陽に明らかにすることができ、それぞれのスケールの水循 環に果たす役割、そのメカニズム、水循環の実態、さらに各スケール間の力学的関係を明らかにできる。




研究課題名:「マルチスケールの水循環過程に対する水の水素・酸素安定同位体の応用」 (継続・対応教員:檜山哲哉)
 水を構成する水素・酸素の安定同位体(以後、水の安定同位体と称する)は、主に海水を基準とした水サンプルの同位体比(δDとδ18O)およ び、d値 [d値(‰)=δD−8×δ18O] の形で表現される。これら水の安定同位体の3つの指標は、従来から蒸発・凝結時の同位体分別における平衡・非平衡過程に基づいて、水の起源の特定や、起源 を異にする水の混合過程を論ずる研究に、多く用いられてきた。例えば、同位体比の変化における気温効果や内陸効果、高度効果により、主に降水の広域的な水 循環過程を解釈するための研究や、大陸内部での水の降水・蒸発散等のリサイクル過程の研究、そして、ある地点で採取した地下水から、その涵養源を推定する 研究等に利用されてきた。
 本研究課題では、水の安定同位体を用いて、従来行われてきた広域的な水循環過程に供するための研究をさらに推進するとともに、従来までは手法と測定精度 の限界から難しいとされてきた局域的な水循環過程(例えば、メソスケ−ルの雲・降水過程)の研究に供するために水の安定同位体を用いる方法論等を探り、そ れを用いた新たな観測の企画や研究プロポ−ザルの作成を目指す。同時に、水の安定同位体を用いて地球水循環過程の研究を行っている国内(外)の研究者を招 へいし、成果を発表する機会を設けることで、地球水循環研究の発展を目指す。




研究課題名:「沖縄亜熱帯域における雲・降水システムと大気境界層、海洋表層の観測的研究」 (新規・対応教員:中村健治・森本昭彦)
 沖縄域は台風や梅雨などの降水システムの多い場所で あると同時に、海に囲まれており、降水システムや大気と海洋相互作用の観測的研究のために適している。さらには黒潮影響域にあり、海洋物理の面からも特徴 のある領域である。この沖縄域には独立行政法人情報通信研究機構沖縄亜熱帯計測技術センターがあり、充実した大気海洋観測施設である。この沖縄において降 水システム、そしてそれに大きな影響を及ぼす大気境界層の観測的研究を行う。また海洋レーダによる海況観測も行う。本研究は情報通信研究機構との連携のも とで行う。
 独立行政法人情報通信研究機構は沖縄亜熱帯計測技術センターに5GHz帯偏波ドップラレーダ、2機(400MHz、1.4GHz)のウィンドプロファイ ラ、ドップラソーダの大気リモートセンシング測器を整備している。偏波ドップラレーダには2式のバイスタティック受信機システムを備え降水システム中の気 流の3次元構造を観測できる。また地上には、通常式雨量計の他、光学式雨量計や雨滴計を備えている。また、海洋に関しても、HF帯海洋レーダを2式運用し ており、沖縄域の海象の常時モニターを行っている。
 このような充実した施設と地域の特徴を生かし、情報通信研究機構との連携のもとで大気および海洋の観測的研究を推進し、「亜熱帯雲・降水・海洋システム学」の基礎の確立を目指す。



(2) 研究集会
 地球水循環システムの構造と変動に関する研究の成果発表、又は研究企画・立案のために本センターで開催する研究集会を公募します。
(3) 機器利用
当センターで保有する共同利用機器を利用できます。(別表参照

2 申請者の資格
大学及び公共的研究機関の研究者又はこれに準ずる研究者でセンター長が適当と認めたも の。

3 申請方法
申請研究代表者は(当センターに所属されない方は、当センターの対応教員を決めた上で、所定の申請書(様式 [word] [pdf] )1通をセンター長宛に郵送するとともにe-mailで原稿送付(ファイル添付)をしてください。
e-mailによるの方法に関しては;
kyodo@hyarc.nagoya-u.ac.jp
へ送付願います。

4 共同研究期間
採択日から平成18年3月15日迄の期間

5 合否の決定
 共同研究の採否は、当センターの共同利用委員会で審査し、運営委員会の議を経てセンター長が決定し、その結果を研究代表者に通知します。

6 所要経費
共同研究に必要な研究経費については、予算の範囲内で配分額を決めます。
なお、配分額については、当センターの対応教員より通知します。

7 共同研究の成果報告
 研究代表者は、平成18年3月31日までに「共同研究報告書」(様式;申請書フォー マット内に含まれています [word], [pdf]) 1通を当センター研究協力事務室に提出してください。
なお、共同研究の成果を学術論文又は報告書として発表した場合は、当センターとの共同研究であることを明記し、その別刷り又はコピー一部を当センター研究 協力事務室に提出してください。

8 提出書類の締切
平成17年4月25日(月)  です。

9 申請書の提出及び問い合わせ先
〒464−8601 名古屋市千種区不老町
名古屋大学環境学研究科・地球水循環センター事務部庶務掛
電話:052-789-4273(ダイヤルイン)、 FAX:052-789- 3452


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