平成 20年度 名古屋大学地球水循環研究センター
共同研究公募要項
[センター計画研究, (マルチパラメーターレーダ),(気候システム), (沖縄), (陸水貯留量)]
[集会/機器利用][申請方法 /締切][別紙 (word)/(pdf)][利用機器][教員]

「地球上の水循環システムの構造と変動に関する総合的な研究」に関する
共同研究を下記のとおり公募します。


1 共同研究の 種別
 計画研究の種別は、次の通りです。

(1) センター計画研究
 
本センターでは、分野を超えたセンター教員の研究チームによるセンター計画研究として次の4課題を策定しました。これらに参加する共同研究課題を募集します。


 研究課題名: マルチパラメーターレーダが拓く新しい地球水循環研究(継続・対応教員:上田博・坪木和久・篠田太郎

 平成19年11月、当研究センターに最新のマルチパラメーターレーダシステムが導入 されました。発信機が固体化された可搬性の高いX−バンドのレーダ2式からなる装置です。平成20年度には、名古屋大学地球水循環研究センター棟屋上と岐 阜大学工学部棟屋上にこの新レーダを設置し、観測を実施する予定です。この装置による雲・降水システム及び大気境界層の構造についての新しい研究の展開が 期待されています。新レーダを利用して地球水循環研究の発展をもたらすためには、これまでの研究成果の利用だけでなく、多くの新しい観測・解析技術の開発 が必要です。新レーダから得られるデータを有効利用し、さらに雲解像数値モデルとの融合を行うためには、観測法・解析法・データ同化法など多くの課題を解 決しなければなりません。
 本研究課題では、この新レーダを中心として、既存の装置も含めてマルチパラメーターレーダを用いた地球水循環研究の新しい展開を推進するものです。具体 的には、新レーダを用いて行う気象現象の観測、雲・降水システムの物理過程の観測、そして新レーダの利用法についての検討を実践的に行います。新レーダで 得られるデータの特性の検証、新しい観測パラメータ利用法の開発、新たな解析法・表示法の開発、データ同化を見据えた雲解像モデルとの融合に必要な観測 データの取得と解析、ソフトウエアの整備、運用方法の開発など、理学的・工学的な様々な立場からの研究の展開を期待するものです。
 
以上の趣旨に賛同される国内の研究者の積極的な参加をお待ちします。


研究課題名: 気候システムにおける対流・降水の日変化過程の解明(継続・対応教員:安成哲三・藤波初木)

 熱帯・亜熱帯地域の陸上及び周辺海洋域では、降水や雲活動の日変化が非常に顕著であ り、これら日変化を介した地表面、大気境界層と自由大気とのエネルギー交換が大気循環場の形成にとって重要です。近年、時間的・空間的に高解像度の静止気 象衛星データが利用可能になったことや、TRMM(熱帯降雨観測衛星)データの蓄積により、対流活動の日変化の地形依存性や降水システムの地域特性等がわ かってきました。しかし、GCMなどの気候モデルにおいては依然として降水や対流の日変化はうまく再現されず、気候モデルにおける系統的誤差を生み出す大 きな要因になっています。
 本研究課題では、現在進行中の国際プロジェクトMAHASRIへの貢献も含め、当センターにおけるこの課題に関連したこれまでの観測的研究、モデル研究 の蓄積を基礎に、TRMMなどのリモートセンシングデータや地点降水量データを用いて、日変化過程の地域特性と季節性の解明を推進するとともに、 CReSS や WRF などの雲解像モデルや、領域気候モデルにより日変化過程のモデリング研究を進め、気候モデルにおける日変化による系統的誤差問題の解明を目指します。この 研究課題は、研究者同士の情報交換とモデル結果の相互比較など、研究集会を中心として進め、気候システムにおける日変化研究の、日本におけるノードとして の役割を担います。本年度は、本研究課題の3年目でもあり、これまでの研究成果のまとめを含む国際ワークショップを開催し、今後の方向性についても検討し ます。
 以上の目的に沿った国内研究者の積極的な参加を期待します。

研究課題名:沖縄の気象・気候・海象の観測的研究 (新規・対応教員:中村健治・上田 博・森本昭彦)

 平成17年度から「沖縄亜熱帯域における雲・降水システムと大気境界層、海洋表層の観測的研究」として独立行政法人情報通信研究機構(NICT)沖縄亜 熱帯計測技術センターとの連携を軸として計画研究を行ってきました。これまでにNICT沖縄センターの施設を利用した多くの報告がなされ、研究の可能性、 観測の限界などが明らかになりました。沖縄域は梅雨期の下層ジェットなどに見られるように南西からの水蒸気輸送経路上にあります。また、毎年数個の台風が 直撃しているように、顕著な水循環を示す地域となっています。海については沖縄域が黒潮流路にあたっており、黒潮の細かい変動と衛星観測からの広域の変動 との対比がなされてきています。NICT沖縄センターではこの地域での定常気象・海象観測が行われており、事例研究とともに気候学的研究も行うことによ り、本領域の水循環の実態が可能であることがわかってきました。またデータベースも作られてきています。
これらを踏まえ、本研究課題では、新たに沖縄域の気象・気候・海象の実態解明を目指した研究を行います。具体的課題の例を以下に記します。
 ・長期観測データによる沖縄域の気象と気候
 ・台風データベース構築と台風研究
 ・将来の衛星からの降雨観測手法開発のためのデータベース構築
 ・沖縄域の黒潮蛇行と総観規模大気擾乱との関係
 ・複数測器の高度利用法の検討
 以上の趣旨に賛同される国内の研究者からの、積極的なご応募をお待ちしています。


研究課題名:陸水貯留量変動のグローバルマッピング  (新規・対応教員:檜山哲哉・増永浩彦)

 陸水は人類の生存にとって欠くことのできない重要な資源です。年降水量の少ない乾 燥・半乾燥地域では、ごく表層の陸水の利用に制限があるため、地下水など、滞留時間の大きな陸水を利用し、農業用水や都市用水として確保しているのが現状 です。したがって、地下水を含めた陸水の貯留量変動を正確に定量把握するための研究、特に、そのグローバルマッピングを目指した研究が必要です。この研究 課題では、陸水(積雪水、土壌水、地下水など)の貯留量変動とその全球分布を、季節変動から年々変動スケールで明らかにすることを目的とします。
 この目的を達成するために、本研究課題では、測地衛星ミッションの GRACE (Gravity Recovery and Climate Experiment) から得られる重力ポテンシャルやジオイドのデータを利用し、数百 km の空間スケールでの陸水貯留量変動の全球分布を得るための手法開発を推進し、これに関係する国内外の研究者間の相互交流を行います。数百 km の空間スケールよりも小さいスケールの陸水貯留量変動については、水の酸素・水素安定同位体(以後、水の安定同位体)組成を利用した事例研究と研究者間の 交流を推進します。具体的には、下記の3項目の研究と関連する活動を実施します。
 ・GRACE衛星を利用した陸水貯留量変動に関する手法開発のレビューと、GRACE後継の測地衛星ミッションに対応した手法開発
 ・総合地球環境学研究所所有の質量分析計を活用した水の安定同位体組成の測定(研究目的に限り、共同研究者からの分析依頼を受け、同位体組成を測定・品質チェック後、依頼者に無料で分析結果を提供)
 ・GRACE衛星を利用した陸水貯留量変動に関する研究会と、水の安定同位体組成の測定依頼者による成果報告会を年度末に実施
 以上の趣旨に賛同される国内の研究者からの、積極的なご応募をお待ちしています。


(2) 研究集会
地球水循環システムの構造と変動に関する研究の成果発表、又は研究企画・立案のために本センターで開催する研究集会を公募します。
(3) 機器利用
当センターで保有する共同利用機器の利用の申し込みを募集します。(別表参照 word/pdf
なお、機器利用に関しては、他の利用がなければ随時受け付けますので、所定の申請書(別紙様式3 word/pdf)を用いて申請して下さい。

2 申請者の資格
大学及び公共的研究機関の研究者又はこれに準ずる研究者でセンター長が適当と認めたもの。

3 申請方法
申請研究代表者は(当センターに所属されない方は、当センターの対応教員を決めた上で)所定の申請書(別紙様式1 word/pdf)1通をセンター長宛に郵送するとともに、e-mailによりkyodo@hyarc.nagoya-u.ac.jpまで送付ください。

4 共同研究期間
採択日から平成21年3月15日までの期間、なお機器利用については別途協議します。

5 採否の決定
共同研究の採否は、当センターの共同利用委員会で審査し、運営委員会の議を経てセンター長が決定し、その結果を研究代表者に通知します。

6 所要経費
共同研究に必要な研究経費については、予算の範囲内で対応教員に対する配分額を決めます。なお、詳細については、当センターの対応教員にお問い合わせください。また、共同利用機器については、運搬経費と保険料をご負担願います。

7 共同研究の成果報告
研究代表者は、平成20年3月31日までに「共同研究報告書」(別紙様式2 word/pdf)1通を当センター研究協力事務室に提出してください。 なお、共同研究の成果を学術論文又は報告書として発表した場合は、当センターとの共同研究であることを明記し、その別刷り又はコピー一部を当センター研究協力事務室に提出してください。

8 申請書提出の締切
  共同研究・研究集会 平成20年3月24日(月)
  共同利用機器     随時受付

9 申請書の提出及び問い合わせ先
共同研究・研究集会:
〒464−8601 名古屋市千種区不老町
名古屋大学環境学研究科・地球水循環センター事務部庶務掛
電話:052-789-4273(ダイヤルイン)、 FAX:052-789- 3452

共同利用機器:
〒464−8601 名古屋市千種区不老町
名古屋大学地球水循環センター研究協力事務室
電話:052-789-3466(ダイヤルイン)、 FAX:052-789- 3436


This page uploaded in 29 Feb 2008
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